国内外で数多くの個展・グループ展を開催し、日仏現代美術展「奨励賞」などを受賞されている、画家の中村咲子様よりポートフォリオサイトのリニューアルをご依頼いただきました。
ご依頼の背景・目的
当初はWixで制作したWebサイトを運用されていましたが、「作品をより美しく見せられるサイトにしたい」とご相談いただきました。
また、海外での展示活動も積極的に行われていることから、英語での検索流入を強化したいというご要望がありました。
加えて、作品を国内外へ販売できる環境を整えること、さらに公開後もご自身で作品の追加や情報更新を行える運用しやすいサイトにしたいという点もご依頼の目的でした。
ご提案・施策のポイント
本サイトにおけるゴールは作品の販売ですが、一般的なECサイトのように機能や価格を訴求するのではなく、作品の背景や作家の理念、制作への想いといった「コンテキスト(文脈)」を伝え、共感を育てることが重要だと考えました。
また、アート作品はブランド価値や作家としての世界観が大きく影響するため、過度なセールス色はかえって価値を損なう可能性があります。
そのため、購入を強く促す構成ではなく、作品や作家への理解を深められるコンテンツを中心に設計しました。
掲載する作品は一点物が多く、オンラインだけで質感や色彩を完全に伝えることには限界があります。
そのため、Webサイトは「認知獲得」と「信頼形成」の入口として位置づけ、最終的な購入の意思決定は個展やアートフェアなど、実際に作品を鑑賞できるオフラインの場へつながる導線を意識しています。
サイト全体は、展示会などで作家を知った方が作品の世界観や活動実績を深く知ることができる受け皿として設計しました。
また、ブログによる活動報告を継続的な情報発信の場とし、オフラインで生まれた接点を維持できるようにしています。
さらに、画家はギャラリーやディーラーを通じて作品を販売するケースも多いため、作品情報だけでなく、経歴や展示実績など、関係者が必要とする情報も整理して掲載しました。
設計・制作のプロセス
制作にあたっては、まずアート業界の商習慣や専門用語を調査し、業界特有の情報設計を理解することから着手しました。
例えば「CV」という言葉は、Web業界では「コンバージョン」を指しますが、アート業界では作家の経歴を意味します。
通常であれば誤解を避けるため「プロフィール」など一般的な表現を採用しますが、本サイトは画廊やディーラーなど業界関係者にも利用されることを想定していたため、あえて業界標準である「CV」を採用しました。
多言語対応については、自動翻訳では十分に作品のニュアンスを伝えられないと判断し、日本語・英語それぞれの内容を最適化できるよう、翻訳は専門の翻訳家へ依頼しています。
運用面では、クライアントがソースコードに触れることなく作品やプロフィールを更新できるよう、WordPressのカスタムフィールドを活用して管理画面を設計しました。
必要事項を入力するだけで更新できるため、専門知識がなくても継続的に運用できます。
また、SEO設定についても自動化を実装し、作品やブログ記事を追加すると必要な情報が自動で反映される仕組みを構築しました。
細かなSEO設定を行う時間を確保しづらいクライアントでも、日々の更新だけで基本的なSEO対策が行えるよう配慮しています。
今後の展望など
公開後は、国内外で開催される個展やグループ展を通じて作家を知った方が、作品や活動理念をより深く理解できる場として機能しています。
今後は、展示会や制作活動に関するブログ記事を継続的に発信することで、オフラインで生まれたつながりを維持するとともに、SEOによる新たな認知獲得も期待できます。
個人での運営という点を考慮しながら、無理なく継続できる情報発信基盤として活用していただけるサイトを目指しました。