Webマーケティングは何から始める?中小企業Web担当者が最初に確認する3つのこと
Webマーケティングを始めたいけれど、何から手をつければいいのかわからない。SEO、広告、SNS、ブログと調べるほど選択肢が増えて、結局どれも始められないまま時間だけが過ぎていく。
もしそうなら、この記事はあなたのために書きました。
専任のWeb担当者がいない中小企業では、担当者や経営者が本業の合間にWebを任されることが少なくありません。使える時間も予算も限られていて、すべてを試す余裕はありません。「何から」を間違えると、遠回りになってしまいます。
迷う原因は、知識の不足というより、選ぶための判断基準がないことです。この記事では、施策を選ぶ前に確認しておきたい3つのこと(成果・受け皿・計測)と、その後に集客チャネルを1つだけ選ぶ手順を、兼任の担当者が週1〜2時間で進められる形で整理します。
読み終えるころには、「自社が今週やること」を1つ決められる状態を目指します。
Webマーケティングは何から始める?迷う理由は「判断基準がない」こと
Webマーケティングとは、インターネットを使って見込み客と出会い、問い合わせや購入につなげる取り組みの総称です。SEO、広告、SNS、ブログ、メール、Googleビジネスプロフィールなど、手法は数多くあります。
「何から始めればいいかわからない」と迷うのは、手法が多いことに加えて、次の3つが重なっているためです。
- 情報源ごとに「まずやるべきこと」が違う:発信者の得意分野に寄りやすく、SEOの会社ならSEO、広告の会社なら広告が勧められがちです。どれも間違いではありませんが、自社に合うかどうかは別の話です。
- 自社に合うかを測る物差しがない:他社の成功例を見ても、自社の状況に当てはめられません。
- 試す時間が限られている:兼任だと、複数の手法を順に試す余裕がありません。
そこで必要なのは、「正解の施策」を探すことではなく、自社の状況から優先順位を決める物差しです。この記事では、次の順番を物差しにします。
- 成果:Webで何を得たいのかを決める
- 受け皿:問い合わせを受け取る場所(ホームページやGoogleビジネスプロフィール)を整える
- 計測:成果の数を毎月見られるようにする
- 集客チャネル:どこから人を呼ぶかを、1つだけ選ぶ
最初の3つが整っていないまま集客を始めると、成果が出ているのかを判断できず、せっかく来てくれた人も取りこぼしてしまいます。そのため、「最初の一手」は、いきなり施策を選ぶことではなく、3つのうち、できていないものを整えることです。
施策を選ぶ前に確認したい3つのこと
SEOにするか、広告にするか、SNSにするか。施策を比べはじめる前に、確認しておきたいことが3つあります。この3つが曖昧なまま施策を始めると、成果が出ているのかどうかも判断できないからです。
1. Webで得たい成果を1つ決める
最初に決めるのは、Webに何をさせたいかです。たとえば次のようなものがあります。
- 問い合わせ(フォームや電話)を増やしたい
- 来店予約を増やしたい
- 商品を購入してもらいたい
- 採用の応募を増やしたい
候補はいくつもありますが、ここでは1つに絞ってください。成果が複数あると、施策の優先順位も、効果の測り方もぶれてしまいます。
次の一文が言える状態であれば、この確認はクリアです。
「Webから、〇〇を月△件増やしたい」
あわせて、直近1か月に実際何件あったかも数えます。0件でも構いません。「0件である」と把握できていることが大切です。目標の数字は、最初は現状より少し上で十分です。社内に説明する立場の方も、成果が一文で言えると話が通りやすくなります。
2. 問い合わせを受け取る「受け皿」を整える
受け皿とは、検索した人が最初に見る場所のことです。自社のホームページや、Googleビジネスプロフィールがこれにあたります。集客を始める前に、ここで取りこぼしが起きていないかを確認します。見るのは次の5点です。
- 何の会社で、誰のためのサービスなのかが一目でわかる
- 連絡手段(フォームや電話)がスマホで押しやすい位置にある
- 実績・事例・料金の目安のいずれかが載っている
- 会社名・所在地・代表者などの運営者情報がある
- スマホで表示が崩れず、極端に遅くない
すべてが完璧である必要はありません。まず「連絡手段」と「信頼できる情報」の2点を優先してください。ホームページを作り直さなくても、既存のページに情報を足すだけで済むことも多くあります。
確かめるには、自社名ではなく「地域名+業種」で検索し、初めて見る人の目線で自社のページを見てみてください。家族や知人に見てもらい、「何をする会社か」「どこに連絡すればいいか」がすぐにわかるか聞くのも有効です。
3. 成果の数を毎月見られるようにする
数字で見られなければ、始めた施策が効いたのか、続けるべきなのかを判断できません。最初に必要なのは、高度な分析ではなく、次の最小構成です。
- 問い合わせを記録する表を1枚つくる(日付、どこで知ったか、内容、契約に至ったか)
- GA4とGoogleサーチコンソールを設定する(どちらも無料)
- フォームの送信や電話のタップを、成果として計測できるようにする
問い合わせの際に「どこで当社を知りましたか」と聞くだけでも、経路の手がかりになります。毎月の問い合わせ数と、その経路がわかる状態になっていれば、この確認はクリアです。
3つの確認のまとめ
1. 成果
- できている状態:成果を一文で言え、直近1か月の件数がわかる
- できていない場合は…:成果を1つ決め、件数を数える
2. 受け皿
- できている状態:連絡手段と信頼情報が、スマホで見やすく載っている
- できていない場合は…:連絡手段と信頼情報から整える
3. 計測
- できている状態:毎月の問い合わせ数と経路がわかる
- できていない場合は…:記録表とGA4・サーチコンソールを設定する
3つのうち、できていないものが1つでもあれば、それが「最初の一手」です。施策を増やすのは、そのあとで構いません。3つとも整っているなら、次は集客チャネルを選ぶ段階です。
3つが整ったら、集客チャネルは1つだけ選ぶ
3つの確認が済んだら、ようやく集客チャネルを選ぶ段階です。ここで大切なのは、最初は1つだけ選ぶことです。
兼任の担当者が使える時間は限られています。SNS、ブログ、広告を同時に始めると、どれも中途半端になりがちで、成果が出る前にすべてやめてしまうことにもなりやすいのです。1つに絞れば、続けやすく、効果があったかどうかも判断しやすくなります。
選び方の目安は、お客様が自社をどうやって見つけてくれているかです。確認③で作った記録表を見て、問い合わせが最も多い経路から考えてみてください。まだ件数が少なくてわからない場合は、下の3つのうち、いちばん当てはまるものを選びます。
地域名+業種で探される場合
飲食店、美容室、整体院、工務店のように、お客様が「地域名+業種」で検索して見つける仕事は、Googleビジネスプロフィールの整備が最初の一手になります。無料で始められ、検索結果やGoogleマップに自社の情報が表示されます。
最初にやるのは、次の4つです。
- 営業時間、住所、電話番号、サービス内容を正確に入力する
- 店舗や施工の写真を数枚載せる
- 休業日などの変更をすぐ反映する
- お客様に口コミをお願いする流れを決める(会計時に案内する、など)
口コミは、お礼の品などと引き換えに依頼しないでください。Googleのポリシーで制限されています。
この段階では、ブログの更新や広告の出稿は後回しで構いません。1か月後は、Googleビジネスプロフィール経由の電話やルート検索の件数を確認します。
課題やサービス名で探される場合
「〇〇 費用」「〇〇 おすすめ」のように、お客様が課題やサービス名で検索して比べる仕事(BtoBのサービス、士業、制作業など)は、検索から来る人を受け止める設計が最初の一手になります。
ただし、いきなりブログを量産する必要はありません。順番は次のとおりです。
- 主力サービスのページを、お客様の疑問に答える内容に整える(誰向けか、何ができるか、料金の目安、進め方)
- お客様から実際によく聞かれる質問を1つ選び、それに答える記事を1本書く
- 1本ごとに、検索されているか、問い合わせにつながったかを確認する
検索されているかは、サービスに関わる言葉をGoogleの検索窓に入れて、予測表示や関連する検索が出るかで、おおまかに見当がつきます。検索で成果が出るまでには数か月かかることが多いため、短期で結論を出さないようにしてください。
紹介・口コミが中心の場合
これまでの仕事が紹介や口コミで回っているなら、新しい集客を足す前に、紹介を逃さない準備を優先します。紹介された人は、たいてい名前や会社名で検索して、本当に頼んでよいか確認するからです。
- 確認②の受け皿を整える(特に、実績・料金の目安・運営者情報)
- 既存のお客様に、年数回の近況連絡を送る(メールやLINEなど、続けられる手段で)
- 紹介してくれたお客様に、お礼を伝える
この場合、新規向けの広告は急ぐ必要がありません。月の問い合わせのうち、紹介がどれくらいを占めているかを確認してください。紹介だけで十分に仕事が回っているなら、「今はWebに力を入れない」と決めるのも、立派な判断です。
3つのチャネルのまとめ
1. 地域名+業種で探される
- 最初の一手:Googleビジネスプロフィールの整備と口コミの依頼
- 今は後回し:ブログ更新、広告
2. 課題やサービス名で探される
- 最初の一手:サービスページの整備と、お客様の質問に答える記事1本
- 今は後回し:SNSの複数運用、記事の量産
3. 紹介・口コミが中心
- 最初の一手:受け皿の強化と、既存のお客様への定期連絡
- 今は後回し:新規向けの広告
選んだチャネルは、少なくとも3か月は続けてみてください。その間は、新しい施策を足さずに、数字を見て改善することに集中します。
使える時間が週1〜2時間でもできる最初の30日
ここまでの内容を、30日間の動きに落とし込みます。前提は、兼任の担当者が週に1〜2時間を確保できる場合です。すでに済んでいる項目は飛ばして進めてください。
- 1週目
-
- 成果を1つ決め、直近1か月の件数を数える
- 問い合わせの記録表をつくる
(所要時間:約1時間)
- 2週目
-
- 「地域名+業種」で自社を検索し、受け皿をチェックする
- 連絡手段と信頼情報を整える
(所要時間:1〜2時間)
- 3週目
-
- GA4とGoogleサーチコンソールを設定する
- フォーム送信や電話タップを成果として計測できるようにする
(所要時間:1〜2時間)
- 4週目
-
- 集客チャネルを1つ選び、その最初の一手に着手する
- 最後に30日間の成果を振り返る
(所要時間:1〜2時間)
30日目のゴールは、問い合わせが増えることではない
30日で問い合わせが目に見えて増えるとは限りません。この期間のゴールは、次の3つがそろうことです。
- Webで得たい成果が決まり、件数を毎月数えられている
- 受け皿に、連絡手段と信頼情報が載っている
- 選んだチャネルの最初の一手が、実行済みになっている
数字の変化が見えはじめるのは、そのあとです。30日目に件数が増えていなくても、失敗ではありません。土台が整った状態から、数字を見て改善していくことになります。
30日後のチェックポイント
30日が経ったら、15分だけ時間をとって、次の3点を確認します。
- 記録表に、1か月分の問い合わせ数と経路が入っているか
- 選んだチャネルの最初の一手を、実行できたか
- 次の30日で、何を1つだけ続けるか、または見直すか
社内への報告が必要な担当者は、この3点をそのまま共有すれば、説明の材料になります。
最初のうちはやらないほうがいいこと
何を始めるかと同じくらい、何を後回しにするかが大切です。兼任の担当者がやってしまいがちで、結果として続かなくなる例を挙げます。
複数のSNSを同時に始める
InstagramもXもYouTubeも、と手を広げると、投稿の準備だけで週の時間が埋まります。SNSを使うなら、お客様が実際に見ていそうなものを1つだけ選び、無理なく続けられる頻度から始めてください。
記事を量産する
「ブログは数を書くほど有利」と聞いて、焦って更新を増やしても、読まれない記事が増えるだけです。まずは、お客様からよく聞かれる質問に答える記事を1本書き、その1本が検索されて問い合わせにつながったかを確認します。
受け皿が弱いまま、広告を出す
広告は、出した分だけ人を呼べます。しかし、受け皿に連絡手段や信頼情報がなければ、費用をかけて呼んだ人を逃してしまいます。広告は、確認②が整ってから検討してください。
1〜2か月で結論を出す
検索からの流入や口コミは、効果が見えるまでに時間がかかります。最低でも3か月は同じチャネルを続け、記録表の数字を見て判断してください。数字を見ずに「効果がなかった」と決めてしまうのが、いちばんもったいない終わり方です。
アクセス数やフォロワー数だけを追う
増えると嬉しい数字ですが、売上につながるとは限りません。見るべきは、最初に決めた「成果」の件数です。アクセスが増えても問い合わせが増えていないなら、受け皿に課題があるかもしれません。
「上位表示を保証します」という提案を、そのまま信じる
検索順位を確実に約束できる業者はいません。順位の保証をうたう提案には注意が必要です。外注先に確認したいことは、次の章でまとめます。
自分でやること、任せたほうがいいこと
ここまで読んで、「全部は自分でできない」と感じた方もいるかもしれません。その場合は、一部作業の外注化を検討しても構いません。どの作業を他人に任せるかの判断基準は、次の3つの問いです。
- 自社や自社のお客様を知っているからこそ、価値が出ることか
- 覚えるのにかかる時間が、得られる成果に見合うか
- 失敗したとき、取り返しがつくか
自分でやったほうがよいこと
- 成果を決める
- よくある質問の洗い出し
- 事例やお客様の声の整理
- 問い合わせの記録
- 口コミのお願い
任せてもよいこと
- ホームページの構造変更や、フォームの設置・改修
- 計測タグの設置と、計測の設計
- セキュリティ対策、バックアップ、システムの更新
- デザインの調整、表示速度の改善
- 専門知識が必要な広告の運用
事業のことを知っている人でなければ対応が難しいことは、自分でやるようにします。ここを他人に任せてしまうと、内容が薄くなります。逆に外注化を検討してもいいものは、手間がかかったり、Webに関する専門知識が必要だったり、ミスをするとホームページに影響が出やすいことです。
任せるときに守りたいのは、目的と成果は自分で決めることです。最初に決めた成果を伝えておけば、業者の提案が自社の目的に合っているかを判断できます。「何でもお任せします」と丸投げすると、何をしてもらっているのか、成果が出ているのかが見えなくなります。
外注先に確認したいこと
- 何を実施するのか(作業の内容と範囲)
- 成果の数字を、どう測るのか
- 報告は、どの頻度・形式で受けられるのか
- 順位の保証をうたっていないか(検索順位を確実に約束できる業者はいません)
順位の保証より、これらの質問に具体的に答えてくれるかどうかが、判断の材料になります。
まとめ
この記事では、Webマーケティングを何から始めるかを、次の順で整理しました。
- 成果を1つ決める
- 受け皿(ホームページやGoogleビジネスプロフィール)を整える
- 成果の数を毎月見られるようにする
- 集客チャネルを1つだけ選ぶ
自社の状況に当てはめて、最初の一手が決まったなら、まずはそれを30日間やってみてください。
一方で、次のような状態で迷っているなら、一人で抱え込まずにご相談ください。
- 3つの確認のうち、どこまでできているのか自分では判断できない
- 受け皿の整備に、専門的な作業が必要そうだ
- 自社の場合、どのチャネルを選ぶべきか決められない
- 使える時間や予算が限られるなかで、現実的に何ができるか知りたい
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