中小企業・個人事業主が効果的な戦略を立てるために、まずは現状を的確に把握する必要があります。
SWOT分析は中小企業の診断、そして戦略立案の際に必ず用いられるフレームワークです。
SWOT分析を行うことで、中小企業・個人事業主の現在の姿をより正しく浮き彫りにし、抱えている問題、そして隠れた強みを把握するのに役立ちます。
SWOT分析とは?
たとえばフィットネスでも、
- 食事量は適正か?
- 栄養バランスは偏っていないか?
- 十分な運動はできているか?
- 睡眠時間は短くないか?
など、まずは今の生活習慣を振り返ります。
そうすることで何が問題で太っているのか、なぜ身体がだるいのかなどの原因が洗い出せるわけですね。
原因が分かれば(少なくとも見当がつけば)、改善するための計画が立てられます。
SWOT分析はこれと同様、中小企業の「今」を把握するための必須とも言える分析方法です。
SWOT分析では、中小企業・個人事業主を取り巻く様々な環境を内部環境と外部環境に分け、さらにその中でプラスとなる要因とマイナスとなる要因を仕分けしていきます。
内部環境
内部環境とは、
- ブランド力
- 商品・サービスの品質
- 人材
- お金
- 立地条件
- 技術力・ノウハウ
- 販売力
- 営業力
- 社風
などの自社が持っている特徴のことです。
そしてそれらの特徴を、
- Strength:強み(プラス要因)
- Weakness:弱み(マイナス要因)
に仕分けしていきます。
なお内部環境を分析する方法の一つとして、バリューチェーン分析ががおすすめです。
バリューチェーン分析をすることで、「製造」「販売」「開発」「物流」などの自社を構成する各要素のうち、どこで利益を生み出し、どこが利益を下げる要因になっているのかが見えてきます。
Strength:強み(プラス要因)の具体例
- 駅前に出店していて人通りが多くリピーターを獲得しやすい
- 社員教育制度が充実していて各社員のスキルが高い
- 「○○(商品)と言えばこの会社」という感じでユーザーに広く認知されている
など
Weakness:弱み(マイナス要因)の具体例
- Webに弱く集客に活用できていない
- 人的リソースが足りずカスタマーサービスが不十分
- 保守的な社風のため意思決定が遅い
など
外部環境
外部環境とは、
- 市場
- 景気や社会情勢
- 政治
- 法律
などの「自分ではどうしようもない」もののことです。
それらを、
- Opprtunity:機会(プラス要因)
- Threat:脅威(マイナス要因)
に仕分けしていきます。
機会(Opprtunity)の具体例
- 業界全体が伸びている
- 景気が上向きユーザーの購買意欲が高まっている
- 追い風となる法律が可決された
など
脅威(Threat)の具体例
- 少子高齢化による若い働き手不足
- 外資系企業や大手企業の参入
- 原材料費の高騰
など
SWOT分析から戦略を考える
4つの要素を洗い出せたら、それらを掛け合わせて経営戦略を考えます。
ポイントは「強みを生かし、弱みは改善する」視点で考えることです。
強み × 機会
強みを活かして機会(チャンス)をものにするためにどうすればいいか?
なお、他社が真似しづらい独特の強みのことを「コアコンピタンス」といいますが、コアコンピタンスを活かしてチャンスをつかむことができれば、戦略上優位に立つことができます。
強み × 脅威
強みを活かして脅威を避けるためにはどうすればいいか?
地元の企業として地域住民に認知されているため、「地元ブランド」として商品化し大手企業との差別化を図るなど。
弱み × 機会
弱みを改善して機会(チャンス)を逃さないようにするためには?
Webを活用できてないのが弱点であれば、Webメディアを運営してユーザーとの接点を増やすなどが考えられます。
弱み × 脅威
弱みを改善して脅威による影響を最小限にするには?
若者を採用して助成金を受け、将来活躍する人材を育成するなどが考えられます。
まとめ:まずはやってみることが大切
以上、SWOT分析の目的とそのやり方についてお伝えしました。
「分析」なんていうと難しイメージがありますし、ネットを見ていると「思い付きでやってもうまくいかない」などと書いてあるためハードルが高く感じてしまうかもしれません。
しかしやらなければコツはつかめませんので、まずはとにかくやってみることが大切です。
また外部環境の変化によって内部環境に影響を及ぼしたり、弱みが見方を変えると強みになったり、またはその逆であったりということもあります。
そのため、外部環境→内部環境→外部環境…… という感じで繰り返し考えてみることをおすすめします。