「ドメイン(domain)」とは「領域」というような意味で、事業経営でいう「戦略ドメイン」とは、その企業・個人事業主が戦略を立てて事業を行う領域のことを指します。
戦略ドメインを考えるうえで「顧客軸」「技術軸」「機能軸」が重要なんて言われますが、「~軸」と言われてもいまいちピンと来ないかもしれません。
平たく言えば、
- 誰に
- 何を
- どのように
の3つを軸に考えるといいですよ、ということです。
戦略ドメインは「広すぎず狭すぎず」が鉄則
企業・個人事業主は、戦略ドメインの上で事業を行うことで収益を上げます。
戦略ドメインを広げる、つまりいろんな人にいろんな商品を、いろんな方法で届けようとするほど、人的・金銭的などさまざまな面でコストがかかります。
ドメインを大きく設定するということは、そのまま市場が大きくなることを意味します。
そこにはライバルもたくさん存在し、激しい競争が待っています。
そのため、中小企業・個人事業主の場合はむやみに商品ラインナップを広げず、また関連性のない商品を複数扱ったり、複数のネットショップ(自社ECサイト、楽天ショップ、Yahoo!ショッピングなど)を展開するのは慎重になった方が賢明です。
もちろん商品を増やしたり、ネットショップを複数のプラットフォームで展開することにもメリットはあります。
しかし手を広げれば広げるほど、比例してコストも大きくなることも忘れるべきではありません。
では戦略ドメインが狭ければ狭いほどいいかと言えば、そんなこともありません。
「中小企業や個人事業主が攻める市場はニッチなほどいい」と言われるのをたまに耳にしますが、ニッチなところを攻めすぎれば顧客数が不十分で事業が成り立たない可能性もあります。
もちろんWebをうまく活用できれば、かなり小さなドメインでも日本全国、場合によっては全世界を相手にできますので収益を上げられるケースもあります。
それでも限界はありますので、戦略ドメインは自社の企業理念や経営資源を考慮したうえで、「広すぎず狭すぎず」設定するのが鉄則です。
戦略ドメインは「モノ」ではなく「コト」で捉えるとチャンスが拡がる!
上記のことから、一般的には戦略ドメインの規模と企業規模は比例します。
しかし、自社が顧客へ提供する価値を「モノ」ではなく「コト」で捉えると、チャンスが拡がる可能性があります。
たとえば僕のようなWeb系フリーランスは、Webに関するサービスを提供することが仕事です。
提供する価値を「モノ」で考えた場合、クライアントの希望に合わせてウェブサイトを制作するという「ウェブサイトの受注制作」というサービスが考えられます。
つまり、提供する価値は「ウェブサイト」です。
事実、Web系フリーランスで受注制作をメイン事業として行っている人は大勢います。
そのため、単に受注制作だけで戦っていこうとすれば必然的に競争が激化し、消耗していくわけですね。
しかし提供する価値を「コト」で考えると、自社の持っている資源は同じでもチャンスを格段に拡げることができます。
同じくWeb系フリーランスで考えれば、提供できる「コト」は「Webに関する知識」ということになります。
Webに関する知識という視点で考えれば、
- Web集客ノウハウをはじめとしたWebマーケティングのノウハウ
- 検索エンジン・SNSなどプラットフォームの動向に関する情報
- Webデザインのセオリーやトレンドを踏まえた制作スキル
なども「商品」となり得るわけですね。
そしてこうやって価値を「コト」の視点で考えれば、ウェブサイト制作だけでなく
- SEOやSNS運営に関するコンサルティング
- Webデザインを教える講師
というようなサービスの展開も見えてきます。
まとめ:戦略ドメインは「3つの軸」と「2つの価値」が大切
以上、戦略ドメインの考え方を中小企業に向けてお伝えしました。
戦略ドメインを考えるうえで重要なのは、
- 誰に
- 何を
- どのように
という「3つの軸」と、
- 提供できる「モノ」
- 提供できる「コト」
という「2つの価値」です。
もちろん企業理念からずれないことが大前提ですが、そのうえでこれらを意識することで自社にとって適切な戦略ドメインの設定が可能になるでしょう。