WordPressテーマって有料・無料、公式・非公式、また国産・海外産など、数えきれないほど多くのものが世に出ています。
その中から自分に合ったものを探すのは楽しみである反面、どれを選べばいいのか迷ってしまいますよね。
またWeb制作やSEOなどに詳しくない場合は、自分が選んだテーマが本当に成果につながるのか心配になることもあるかもしれません。
ということで今回は、10年以上Web制作に携わってきた僕の目から、WordPressテーマを選ぶ際に見てほしいポイントや注意点についてご紹介します。
WordPressテーマを選ぶ際のポイント・注意点
WordPressテーマを選ぶ際には、どんなポイントに注意して見ていけばいいのでしょうか?
実のところ、ただブログを楽しむだけであればどんなテーマを使ってもかまいません。
- デザインが好き
- 使いやすい
など、自分の基準で選んでしまえばいいです。
しかし成果を出したい、つまり収益を目的としてブログを運営するのであれば、いくつか押さえておくべきポイントがあります。
ページ表示速度
現在Googleは、ページ表示速度をとても重視しています。
また表示速度が1秒から5秒まで延びると、直帰率が90%まで上昇するというデータ(予測値)もあります。
そのため、成果を出したいのであれば、ページ表示速度ができるだけ速いものを選ぶ方がよいでしょう。
ページ速度をテストするサービスはいくつかありますが、Googleが提供しているPageSpeed Insightsを利用しておけば間違いないです。
入力欄にページ表示速度をテストしたいURLを入力し、「分析」をクリックします。
すると、モバイル(スマホ)でアクセスした場合とパソコンでアクセスした場合のページ表示速度や改善点などについて提示してくれます。
なお、一般的にページ表示を速くするためには、以下のような対策が取られます。
- 外部ファイル(CSSやJS)の読み込みを少なくする
- JavaScript(jQuery)の読み込みを非同期にする
- 画像を最適化(圧縮したり軽量化したり)する
- ファーストビューの表示に必要なCSSをインラインにする
- サーバーのスペックを上げる
3と5については、テーマの方ではどうしようもありません。
できるだけスペックのいいサーバーを使ったり、ブログに使用する画像を圧縮したりと、こちら側で対策する必要があります。
WordPressテーマを選ぶ際にポイントとなるのは、上記の1,2,4です。
とはいえ2についてはWeb制作の知識がないと判断が難しいかもしれませんので、1と4について確認してみることをおすすめします。
外部ファイルの読み込みが多くないか?
WordPressテーマのデモサイトなどをブラウザで開き、「右クリック」→「ページのソースを表示」でソースを見てみます。
すると、はじめの方に
<link rel='stylesheet' href='style.css' type='text/css' media='all' />
というような記述があるはずです。
ここでスタイルシート(CSSファイル)を読み込んでいるわけですが、読み込んでいるファイルの数が多ければ、それだけページの表示に時間が掛かってしまうことになります。
WordPressテーマに限らずですが、ウェブサイトのソースコードではメンテナンスをしやすくするためにスタイルシートを分割する場合があります。
例えば
- トップページ用CSS
- 下層ページ用CSS
- 全ページ共通CSS
というような感じですね。
そうするとたしかにメンテナンス性はいいのですが、外部ファイルを何度も読みに行くことになるのでページの表示に時間が掛かってしまうわけです。
ファーストビューに必要なCSSがインラインになっているか?
ファーストビューというのは、ユーザーがWebページにアクセスして、ブラウザに最初に表示される領域のことです。
この部分の表示に時間が掛かると、ユーザーは何もできず、ただ待つしかなくなります。
Googleでは、ファーストビューの表示に必要なCSSを外部ファイルにせず、インラインにすることを推奨しています。
「インラインにする」とは、HTMLファイルにCSSを直書きすることを言います。
「CSSをインラインにするのはSEO上よくない」と言われたりしますが、それはソースが長くなり、その分ページの表示に時間がかかることが理由です。
ファーストビュー表示のためにCSSをインラインにするのは、まさにページ表示を早くするための対策ですので、この場合のインライン化はまったく問題ありません。
SEO対策
テーマにSEO対策がされていなくても、All in One SEO Packなどのプラグインを利用すれば対策は可能です。
しかしプラグインで各項目を設定するにしても、「それが何のための設定であるか?」を分かっていないと効果的な施策はできません。
「SEO対策済み」とされている最近のテーマでは、インストールするだけで詳しくない人にとって厄介な施策ができてしまうものもあります。
そのためあまり自信がないという人は、あらかじめSEO対策済みのテーマを選ぶとよいでしょう。
そのテーマがSEO対策されているか否かは、以下の点をチェックして判断します。
URLの正規化
サイトを運営していると、1つのページに複数のURLが付与されてしまうケースがあります。
たとえば、
- https://example.com
- https://example.com/index.html
- https://www.example.com
というのは同じページを指すURLですが、検索エンジンには別のページだと判断されてしまうおそれがあります。
そうなれば、ページの評価にも影響が出てしまいます。
そのようなことを防ぐために、「このページのURLはコレですよ」と記述しておくことが「URLの正規化」です。
URL正規化がされているテーマには、head要素に以下のような記述があります。
<link rel="canonical" href="https://example.com" />
タイトルとメタディスクリプション
タイトルは、SEOにおいてもっとも重要だと考えられています。
多くのWordPressテーマでは、ダッシュボードの「設定」→「一般」にある「サイトのタイトル」がブログのタイトルに設定されます。
しかし中には「サイトのタイトル」とは別に、SEO用のタイトルを設定できるものもあります。
メタディスクリプションとは、検索結果のタイトル直下に表示されるテキストのことです。
ソースコードには、以下のように記述されます。
<meta name="description" content="簡単に美しいサイト、ブログ、アプリを作成するのに使えるオープンソースソフトウェア。"/>
以前ほど重要視されなくなった(とされている)メタディスクリプションですが、検索結果のタイトル直下に表示されるため、ユーザーのクリックを促す重要な役割を担っていると言えます。
WordPressテーマの中には投稿や固定ページの編集画面でメタディスクリプションを入力できるようになっているものもあります。
noindex設定
内容が薄い、検索意図に合わないなどの低品質コンテンツがたくさんあると、検索エンジンからの評価が下がってしまうおそれがあります。
そういうコンテンツは削除してしまえれば一番いいのですが、中には何らかの理由で削除できないものもあります。
そういうときには低品質コンテンツのページにnoindexを設定することで、検索エンジンに認識されないようにすることができます。
テーマによっては、投稿・固定ページの編集画面にて個別にnoindex設定ができるようになっています。
内部リンク
ページに関連コンテンツなどを表示することで、ユーザーがサイト内のより多くのページを見てくれる確率(回遊率)が上がり、それによってユーザーの滞在時間も伸びます。
回遊率も滞在時間も検索エンジンの評価に影響するため、こうしたサイト内のリンク構造(内部リンク)がしっかり設計されているものを選びましょう。
「こんな記事も読まれています」とか「よく読まれている記事」などとして、ページの下部やサイドバーなどで他の記事に誘導しているブログをよく見かけると思います。
ああいう感じで記事の一覧を自動で表示してくれたり、または手動で任意の記事を設定できるようになっているテーマもあります。
- SEO対策済みテーマとプラグイン併用はNG
- SEO対策済みのテーマとSEOプラグインは相性が悪いことが多く、併用すると不具合が起きたりするので注意しましょう。ほとんどの場合、テーマの販売サイトやデモサイトでプラグイン併用の不可について書かれていると思うので、事前に確認しておきましょう。
OGP設定
OGP設定とは、FacebookやTwitterなどのSNSにページの情報を伝えるためのものです。
OGPを設定しておくと、SNSでページがシェアされたときにサムネイル画像やタイトル、概要文などを表示させることができます。
これにより、どんどん流れていくタイムラインの中であなたの記事を目立たせることができるわけですね。
WordPressテーマの中には、OGP設定をサイト単位やページ単位で設定できるようになっているものもあります。
サイトへの流入経路が検索エンジンに大きく依存していると、検索アルゴリズムの変更によってアクセスが激減するリスクがあります。
しかしSNSからの流入が増えれば必然的に検索エンジンへの依存度が下がることになり、より安定的なサイト運営が可能になります。
カスタマイズ性
自分がどの程度カスタマイズしたいかにもよりますが、カスタマイズのしやすさもテーマを選ぶ上では大切なポイントです。
ソースコードも改修してごりごりカスタマイズしたい場合には、デザインがシンプルでテンプレート構造もできるだけシンプルなものを選ぶといいでしょう。
よくあるケースとしては、
- カスタム投稿タイプやカスタムタクソノミーを追加する
- パーツとして作成したテンプレートファイルを既存のテンプレートファイルから読み込む
というようなカスタマイズだと思います。
WordPress Codexにテーマのテンプレート階層についての解説があるので、そちらを見ながら使いたいテーマの構造を把握するといいでしょう。
「そこまではちょっと難しそう」「そんなに時間を掛けていられない」というような場合には、ダッシュボードの「外観」→「カスタマイズ」などからカラーやレイアウトなどを設定できるテーマを選ぶといいでしょう。
レスポンシブWebデザイン
レスポンシブWebデザインで制作されているテーマを選びましょう。
プラグインでレスポンシブにすることも可能ですが、その場合はデザインが大きく変わってしまうなど無視できないデメリットもあります。
またテンプレートファイルをパソコン用・スマホ用と用意して切り替えるというような方法もありますが、メンテナンスが煩雑になるため、おすすめできません。
最近ではほとんどのテーマがレスポンシブなので、あまり気にする必要はないかもしれませんが、念のため事前に確認しておきましょう。
テーマ選定時にあまり気にしなくてもいいポイント
注意するポイントが多すぎても、何を選べばいいか分からなくなってしまいますよね。
ですので、WordPressテーマを選ぶ際にあまり気にしなくてもいいのでは? というポイントについてもいくつかご紹介しておきます。
AMP対応
AMP(Accelerated Mobile Pages)とは、モバイルページを高速で表示させるためのフレームワークです。
AMPでは、
- 構造化データ
- JavaScriptの非同期
- 画像サイズの静的指定
などが必要となり、コーディングにかなりの制限がつくことになります。
そしてそれらの制限に準拠していなければエラーとなってしまいます。
そのため、現状では自分でカスタマイズしたりプラグインによって生成されるソースコードがAMPの基準を満たしていないケースが出てくるため、たとえテーマの方でAMP対応していても、あまり意味がなくなる可能性もあります。
またアフィリエイト広告などでは、AMPに対応していないものもあるため、その場合はAMPページで広告が表示されないことになり、収益にも影響が出るでしょう。
さらに、通常ページ用とAMPページ用のテンプレートファイルを用意する必要があるため、メンテナンスの面でも手間が掛かりやすくなります。
Googleが推進しているAMPではありますが、
6. 検索結果のランキングに影響はない
有効で表示可能な AMP ページが含まれているかどうかは、検索結果ページでのサイトのランキングには一切影響しません。違いは、サイトに AMP 版が含まれていると、検索結果にAMPアイコンが追加されることです。
Google ウェブマスター向け公式ブログ [JA]: 顧客のサイトを AMP 化するための 8 つのヒント
というように、「検索結果に直接影響しない」とGoogleも公式に言っています。
また、
- 制限が大きく対応できないケースも多い
- AMP非対応の広告が表示されなくなるおそれがある
- 他の方法でモバイルフレンドリー対応が可能
- そもそもWordPresのような動的にコンテンツを生成するサイトには向いていない
などの理由から、そこまでAMP対応にこだわる必要はないかと思います。
もちろん対応できるならした方がいいでしょうし、AMPによってページ表示が高速化したことにより、間接的に検索エンジンの評価が上がることは考えられます。
そのため将来的にはAMP対応の流れになるかもしれませんが、現実問題としてはWeb制作の知識がないと導入は難しいと言わざるを得ません。
ですので、AMP対応を気にしてテーマを選べなくなるくらいなら、気に入ったテーマを使ってサッサと記事を書き始めた方が成果にはつながるでしょう。
デザインはお好みで
デザイナーさんに怒られてしまいそうですが、収益化ということで言えばデザインの重要度はそれほど高くありません。
それよりも上の方でお伝えした
- ページ表示速度
- SEO対策
- 内部リンク構造
などに配慮した設計になっていることの方が、ずっと重要です。
デザインで収益が大きく変わる、ということはありません。
しかしそれは逆に考えれば、機能について十分に検討した上であれば、ある程度は自分の好みでデザインを選んでもいいということになります。
そもそも「成果を出すため」といって好きになれないデザインを無理して使えば、サイトに愛着を持てずに更新が滞ることになり本末転倒です。
もちろん購入ボタンの色など、コンバージョンに影響する部分はその限りではありませんし、あまりにコンテンツの邪魔になるような主張の強いデザインは控えるべきでしょう。
しかしそうした最低限の基準をクリアできているのであれば、あとはお好みで選んでしまっても大丈夫でしょう。
カラムレイアウト
「カラムレイアウト」というのは、記事エリアとサイドバーなどのように、コンテンツが縦に分割されて柱(カラム)のようにレイアウトされているもののことを言います。
一般的に、1カラムはコンテンツに集中させることができるため、LPなどユーザーに行動を促したい場合に用いられます。
逆にユーザーにいろいろな情報を提供したいという場合には、2~3カラムで他のページへのリンクを設置するなどが効果的でしょう。
そのため、「〇カラムじゃないといけない」ということはなく、「目的に合わせてカラムを選ぶ」というような感じで考えておきましょう。
最近のテーマでは、ダッシュボードの「外観」→「カスタマイズ」からレイアウトを設定できるものもありますし、ページごとにレイアウトを選択できるようになっているものもあります。
ですので、テーマ選定時にあまりシビアに考える必要はありません。
まとめ
以上、WordPressテーマを選ぶ際のポイントと注意点についてお伝えしました。
最近では高機能でデザイン性も高い、優秀なテーマが多くリリースされています。
しかし、見た目のデザインで何となく選んでしまうとページの表示が激遅だったり、ちょっと触るだけでレイアウトが崩れたりと、やたらと扱いづらいテーマもあります。
そうしたところへの対応に時間が割かれると、重要度の高い作業にも影響が出てしまいます。
そんなことにならないよう、ここでご紹介したポイントを踏まえてWordPressテーマを選んで頂ければと思います。