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【ランチェスター戦略】中小企業・個人事業主が取るべき「弱者の戦略」とは?【差別化集中】

中小企業・個人事業主と大手企業では、経営資源の規模に大きな差があります。

そのため、市場で生き残っていくための戦略も根本的に違ってきます。

「弱者の戦略」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これはイギリスで生まれた「ランチェスター戦略」というものから導き出された経営戦略のことを言います。

今回は「ランチェスター戦略」について掘り下げ、中小企業・個人事業主が取るべき「弱者の戦略」とはどのようなものなのか? について考えていきたいと思います。

ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略は、イギリスのランチェスターという人が軍事目的で提唱したのが始まりです。

そしてそれを、日本の経営コンサルタントである田岡信夫という人が経営戦略として構築しました。

ランチェスター氏が軍事目的で提唱したものは、武器の性能と兵力(兵士の数)が軍隊の強さを決めるという軍事理論ですが、田岡信夫氏はこれを

  • 武器=商品・サービスの品質
  • 兵力=営業・販売力

に置き換えてビジネス戦略へと昇華させました。

「ランチェスター戦略=弱者の戦略」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはランチェスター戦略では「弱者の戦略」と「強者の戦略」には違いがあり、経営規模によって戦略が変わってきますよ、ということを言っています。

弱者の戦略(第一法則)

ランチェスター戦略では、弱者の戦略のことを第一法則としています。

第一法則は局地戦・接近戦での戦い方を示したものであり、

戦力=武器性能×兵力

という式で表されます。

これは「兵力が同じなら、武器の性能が勝敗を決定づける」ということで、ビジネスに置き換えると

物量作戦の効かない狭い市場なら、商品・サービスの質がシェアの優劣を決める

ということになります。

いきなりですがドラえもんで例えてみると、いつもジャイアンに負けているのび太でも、100人集まればさすがにジャイアンの分が悪いでしょう。

そのためジャイアンの立場からすれば、できるだけのび太が1人または少人数の状態で戦えるような場所を選ぶことが重要になってくるわけです。

漫画とかで大勢の敵を相手にするのに、狭い路地に入ったりすることがありますよね?

あれこそまさに、「弱者の戦略」というわけです。

強者の戦略(第二法則)

強者の戦略を、ランチェスター戦略では「第二法則」としています。

第二戦略は広域戦での戦い方を示したもので、

戦力=武器性能×兵力の2乗

という式で表されます。

これは「武器の性能が同じなら、兵力のより多い方が有利になる」ということで、

圧倒的物量で商品・サービスの差別化を無効にし、経営規模の差で勝敗が決まる土俵で勝負する

という大企業にのみ実践可能な戦略です。

ドラえもんで例えるなら、ジャイアン1人にのび太100人で挑むより、ジャイアン100人をぶつけた方がより確実ですよね。

こんな感じで相手の特長を真似ることでその優位を無効化してしまうことを同質化戦略といい、市場シェアNo.1の企業がその地位を維持するためによく用いる方法です。

「弱者」としての中小企業の戦い方とは?

これまでにまとめたランチェスター戦略の概念を踏まえて、中小企業・個人事業主は「弱者」としてどう戦うべきでしょうか?

言うまでもないことですが、中小企業や個人事業主はランチェスター戦略の第一法則の則って戦略を立てる方が効果的で、

ニッチな市場で高品質な商品・サービスを展開する=差別化集中戦略

を取ることで有利なポジションを獲得しやすくなります。

ポーターの「競争優位の戦略」やコトラーの「競争地位別戦略」でも同じことが言えますが、大手企業が参入しづらいニッチな市場を見つけ出し、そこで顧客ニーズに沿った機能を付加するなどで差別化した商品・サービスを展開するわけです。

物量のアドバンテージが効かないニッチ市場では、大手企業が同質化戦略を取ることは難しくなります。

ニッチ市場はそもそも規模が小さいわけですので、コストを掛けて攻略したところで得られるリターンが(大手企業にとっては)多くないからです。

そのため、大手企業がはじめから参入してこない可能性の方が高いと考えられるのです。

まとめ

以上、ランチェスター戦略についてまとめてみました。

企業分析にはいろいろなフレームワークがありますが、どんなフレームワークに則って考えてみても、中小企業や個人事業主が取るべき戦略は「差別化集中戦略」になるのが面白いですよね。

そのため、それが中小企業・個人事業主が生き残るためのただ一つの戦略ということなのかもしれませんが、「どういう理屈でそういう結論になるのか?」を知っておくことで、いろいろ工夫や応用ができるようになるのではないかと思います。