Webマーケティング、特にコンテンツマーケティングにおいて「ストーリーテリング」はとても重要な役割を担います。
そのためストーリーテリングとはどんなもので、どのように活用するのかについて理解を深めていくと、Webで成果を出すために大いに役立ちます。
ということで今回はストーリテリングについて、マーケティング的な視点からその重要性や効果についてお伝えしていきたいと思います。
ストーリーテリングのポイントは感情の追体験とビジョンの共有
コンテンツマーケティングでストーリーテリングがなぜ重要かと言えば、それはストーリーによって感情の追体験とビジョンの共有が可能になるからです。
人はストーリーに触れたとき、その展開に自分の記憶と、その当時の自分の感情をリンクさせます。
誰かの失敗談に同情したりできるのは、その人にも失敗した経験があり、そのストーリーを通して感情の起伏を追体験しているからです。
そのためストーリーを語ることで、ユーザーはあなたの経験やあなた自身に感情移入しやすくなるというわけです。
また失敗から成功へのプロセスをストーリーとして見せることで、ユーザーはその成功に自分の将来の姿を重ねるようになります。
つまりストーリーを通して、あなたとユーザーのビジョンを共有することができ、そこに共感や親近感が生まれるということが起こるのです。
人間は感情の生き物である
「人間は感情の生き物である」と言われるように、人間は重要な意思決定をするときでさえも感情の影響を受けています。
マーケティングの世界には「人は感情で物を買い、理屈でそれを正当化する」という言葉があります。
つまり人は「ほしい!」という感情で購入を決め、あとから「今買わないと手に入らないかもしれないし…」「今使っているのはもう古くなっているし…」と理屈をこねて、その決定を正当化するというわけです。
言い換えれば、メリット・デメリットなどの前に、実は買うかどうかが決まっているのです。
そしてストーリーを語ることでユーザーの感情にタッチできるストーリーテリングという方法は、メリットなどを提示して理論的に説得するよりも人間の性質にフィットしたセールス手法だと言えます。
また人間には快楽を得るより、苦痛を回避することの方がより強い動機になりやすいという性質もあります。
平たく言えば、得をするよりも損をしたくないという気持ちの方が強いというわけです。
これを「損失回避バイアス」と呼んだりするのですが、このバイアスもストーリーによって解除することができます。
ストーリーテリングによって共感や親近感が高まると、
- どうせ買うならここから買いたい
- ここならちゃんとした仕事をしてそう
- こんな頑張っている人なら応援したい
というような心理が働くようになります。
そしてさらには、「他にもっと安いところがあってもいいや」とさえ思ってもらえることだってあるのです。
このように感情で意思決定する人間の、まさにその感情にタッチできるストーリーテリングは、マーケティングにおいてとても強力な手法であると言えるでしょう。
ストーリーテリングは聖書でも利用されている
「世界でもっとも売れた本」としてギネスに登録されている聖書にも、実はストーリーテリングが活用されています。
聖書にはたくさんの物語(ストーリー)が収められていますが、そのすべてがキリスト教の教えや価値観を伝えるものです。
そのため大人から子どもまで、多くの人がストーリーを通してキリスト教の教えに触れることができたわけですね。
もし仮に、聖書がキリスト教の概要や全体像を解説する分厚い文字ビッシリの本だったらどうだったでしょう?
おそらくですが、ここまでキリスト教が世界中に広まることはなかったのではないでしょうか。
ストーリーには感情に訴えかけ、情報量を減らしつつ粋の部分を伝えることで人々の記憶に残りやすいという性質があります。
そういう意味では、キリスト教のマーケティング戦略は大成功だったと言えますね。
自分の言葉でストーリーを語ることが大切
以上、ストーリーテリングの重要性についてのお話でした。
コンテンツマーケティングにおけるストーリーテリングでは、語られるストーリーが個人的であり、かつ自分の体験談をベースにしたリアリティのあるものほど成果が出やすいと言われています。
とはいえ注意したいのは、ストーリーとは何も「経験を時系列に述べるもの」ではないということです。
共感や親近感を高めたり、行動を起こさせるという手にしたい結果がまず先にあり、そこへたどり着くまでの「できごと」の取捨選択や演出は不可欠です。
その上で、自分の言葉で語りかけるようにストーリーを伝えることができれば、ストーリーテリングという手法はあなたの強い味方になってくれるでしょう。