災いは忘れた頃にやってくるといいますが、サーバー障害も例外ではありません。
「自分のところは大丈夫だろう」と思っているとある日突然サーバー障害でウェブサイトのデータがすべてパーということにもなりかねません。
ウェブサイトは長いスパンで育てれば、ウェブ上の資産として半自動的に収益を生み出してくれます。
そんな資産を突然失ってしまうことがないよう、日ごろからバックアップを取っておくようにしましょう。
なぜWordPressのバックアップを取っておくべきなのか?
通常、ウェブサイトは文書を構成するHTML、スタイルを指定するCSS、アニメーションなどの動きをつけるJavaScriptで構成されています。
これらHTML、CSS、JavaScriptで作成されたWebページを静的ページといいます。
この静的ページに対して、動的ページというものがあります。
動的ページとは、PHPなどのプログラム言語でサーバー上のデータベースの情報から動的にページを生成するものをいいます。
WordPressも動的にページを生成していて、ユーザーがサイトにアクセスすると、プログラムがデータベースの情報を取り出してページを生成し、ブラウザに表示させています。
静的ページの場合は、HTML、CSS、JavaScriptなどのデータが手元にありさえすれば、たとえサーバー上のデータが飛んでも復旧は簡単です。
しかしWordPressなどの動的にページを生成するサイトでは、手元のデータ(たとえばPHPファイルなど)のほかにデータベースの情報などもバックアップを取っておかないと元の状態に戻すことができません。
たとえば、投稿や固定ページ、メディアなどの情報はすべてデータベースに格納されています。
サーバー障害などでサイトが飛んでしまっても、テーマ(テンプレート)が手元にあれば見た目をもとに戻すことは比較的簡単にできます。
しかし投稿や固定ページなどのデータベースにある情報は二度と戻ってきません。
そして、ウェブサイトを資産化していくには、テーマなどのデザインの部分よりも、コンテンツ(投稿や固定ページなど)の方が圧倒的に重要なわけです。
となれば、WordPressのバックアップを取っておくことがどれほど重要なことなのかはイメージできるのではないかと思います。
UpdraftPlusとは?
ウェブサイトのバックアップを取るためのwordPressプラグインはいろいろとありますが、UpdraftPlusを使えばテーマやプラグイン、メディア、そしてデータベースの情報などWordPessサイトを構成するために必要なデータを丸ごとバックアップすることができます。
またバックアップファイルの保存にはGoogleドライブやDropboxなどのオンラインストレージサービスを利用することができます。
なおバックアップ処理はサーバーに負荷がかかるため、スペックの低いサーバーでは正常に処理を完了できない場合があるようです。
また、ウェブサイトが育ってコンテンツやアクセスが増えたときのことを考えると、あまりスペックの低いサーバーを使用するのはおすすめできません。エックスサーバーやヘテムルなど、一定以上のスペックがあるレンタルサーバーを使用するようにしましょう。
UpdraftPlusのインストール
UpdraftPlusをインストールします。
WordPressダッシュボード「プラグイン」→「新規追加」にて「UpdraftPlus」と入力して検索するか、公式プラグインページからダウンロードしてFTPなどでアップロードしてください。
インストールしたら忘れずに有効化しておきましょう。
UpdraftPlusの設定方法
UpdraftPlusの設定画面は、
- 現在の状態
- バックアップ済み
- 設定
- アドバンスツール
- プレミアム/拡張機能
の5つで構成されています。一つずつ順番に見ていきましょう。
現在の状態
次はいつバックアップ処理が行われるか、最後にいつバックアップ処理がされたかなどのスケジュールに関する状態は表示されます。
バックアップ済み
設定が終わると、バックアップされたファイルはこちらからダウンロードできるようになります。
設定
ここでバックアップファイルの保存先やスケジュールなど、バックアップに関する設定を行います。
バックアップスケジュール
ここでアップロードされたデータやプラグインなどのファイルと、データベースのバックアップ処理を行うスケジュールを設定します。
バックアップ処理は手動で行うか、自動で行うか選択できます。
バックアップファイルの保持する個数を設定します。たとえば「3」と設定すると、直近の3ファイルを保存し、それ以前のものは自動的に削除されます。
保存先を選択
バックアップファイルの保存先を設定します。
ここでは例としてGoogle Driveを保存先として設定する手順をご紹介します。
まず、「Google Drive」をクリックします。
「あなたのGoogle APIコンソールには、このリンクをたどって、そのドライブのAPIを有効にし、APIアクセスセクションのクライアントIDを作成します。」をクリックします。
※あとの作業がスムーズですので、別タブで開いておきましょう。
Google API Consoleが表示されます。Googleにログインしていない場合はログイン画面が表示されますので、ログインしてください。
Google API Consoleのヘッダーにあるプロジェクト名のプルダウンにて「プロジェクトを作成」をクリックします。
「新しいプロジェクト」というダイアログボックスが表示されます。お好きなプロジェクト名(ブログ名など)を入力して「作成」をクリックします。
これでプロジェクトが作成されました。ヘッダーにて作成したプロジェクトが選択されているのを確認し、「Drive API」を選択します。
「有効にする」をクリックします。
「この API は有効になっていますが、認証情報を作成するまでプロジェクトで使用することはできません。[認証情報に進む] をクリックして、今すぐ作成してください(強く推奨)。」と表示されますが、それは無視してサイドバーの「認証情報」をクリックします。
「認証情報を作成」より「OAuthクライアントID」を選択します。
「OAuth クライアント ID を作成するには、まず同意画面でサービス名を設定する必要があります。」と表示されますので、「同意画面を設定」をクリックします。
OAuth同意画面へと進みますので、以下の情報を入力して最下部の「保存」をクリックします。
- メールアドレス
- 自分のメールアドレスを入力します。通常はログインしたGoogleアカウントのGmailがあらかじめ入力されています。
- ユーザーに表示するサービス名
- ウェブサイト(またはブログ)名を入力します。
- ホームページのURL
- ウェブサイト(またはブログ)のURLを入力します。省略可です。
- サービスロゴのURL
- ウェブサイトのロゴ画像がある場合は、ロゴ画像のURLを入力します。省略可です。
- プライバシーポリシーのURL
- プライバシーポリシーが記載されたページのURLを入力します。省略可です。
- 利用規約のURL
- 利用規約ページがある場合はURLを入力します。省略可です。
上記の入力が完了すると「クライアントIDの作成」が表示されます。
「ウェブ アプリケーション」を選択すると、設定項目が表示されます。
以下の情報を入力して「作成」をクリックしてください。
- 名前
- ウェブサイト(またはブログ)名を入力します。
- 承認済みのJavaScript生成元
- ウェブサイト(またはブログ)のURLを入力します。
- 承認済みのリダイレクトURI
下記のような形で入力します。ご自分のウェブサイトのURLやWordPressがインストールされているディレクトリなどに置き換えて入力してください。
http://example.com/wp-admin/options-general.php?action=updraftmethod-googledrive-auth
OAuthのクライアントIDとクライアントシークレットが表示されますので、コピーしておきましょう。
以上でGoogle Driveの方の設定は完了です。
再びWordPressのUpdraftPlus設定画面に戻りましょう。
Google DriveクライアントIDとクライアントシークレット
先ほど取得したGoogle Drive クライアントIDとGoogle Driveクライアントシークレットを入力します。
Google Drive フォルダ
UpdraftPlusの無料版では、保存先のGoogle Driveフォルダ名を変更することはできません。
変更いしたい場合は有料版のプレミアムバージョンを使用しましょう。
Authenticate with Google
一度設定を完了させるまでは下記のように表示されています。
設定が正常に完了すると、後ほどここに「あなたはすでに認証されるようです~」と表示されます。
バックアップするファイル
UpdraftPlusでバックアップするファイルを選択することができます。
サーバーのスペックが低くてバックアップがうまくできない場合などには、ここでバックアップするファイルを選んでおきましょう。
データベース暗号化フレーズ
有料版では、ここでデータベースのバックアップを暗号化することができます。
Eメール
バックアップに関するレポートをメールで受け取ることができます。
エキスパート設定
通常は設定の必要はありませんが、ご希望であれば「エキスパート設定を表示」をクリックしてさらに細かい設定を行うことができます。
アドバンスツール
バックアップに関するより詳細な情報が表示されます。通常は何も操作する必要はありません。
プレミアム/拡張機能
こちらからUpdraftPlusの有料版(プレミアムバージョン)の購入が可能です。
有料版には無料版にはない機能が数多く実装されていますので、より便利に使いたいという場合は試してみてもいいかもしれませんね。
まとめ
WordPressサイトの制作を制作会社に依頼した場合、制作会社には納品時のデータしか残っていないことが普通です(ごくわずかですが、納品時のデータさえ残していないというWeb制作会社もありますのでご注意)。
開設後のサイトのデータは定期的にバックアップを取るようにしておけば、万が一のトラブルのときでも安心です。
データが飛んでしまってからでは遅いです。
「まさかそんなこと」と思わずに、できるだけ早くバックアップをとれるように設定しておきましょう。